レコメンド画像4

常に二手三手先を行くための情報収集のコツ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いま世界で起こっていることをタイムリーにキャッチすることが、ビジネスの勝敗や飛躍の成否を分ける時代だと言われています。

なぜでしょうか。その理由を次の引用文から、どうぞ考えてみてください。

サリム・イスマイル著『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』(日経BP社)によると、「最も早く学習した者が勝つというのが、現代の勝負のルール」だと述べています。

米国人作家ウィリアム・ギブソンの有名な言葉に、「未来はここにある。それはただ均等にいきわたっていないだけだ」というものがあります。世の中を変える未来、いわば兆しは、すでに世の中に存在しているということです。

しかしながら、多くの人はその兆しの意味を知ることなく、見過ごしてしまいます。

たとえば、今ではVR (バーチャル・リアリティ)やドローンが新たなビジネスの飛躍へとつながることは誰でも実感しています。

しかし、実は2010年ごろまでVRやドローンという技術は、一部の人にしか知られておらず、将来の大きなビジネスチャンスとは思われていませんでした。そのため、時代の変化の兆しの見過ごしを防ぐことが非常に重要です。

テレビや新聞、雑誌などのメディアで、毎日いろんな記事や報道が取り上げられています。多くの人は、この情報を真実として受け止めています。

しかしその情報は本当に正しいものなのでしょうか?

この記事では、

・世界の情報を触れる必要性
・国内外の有識者が薦める海外の情報収集法
・情報に飲み込まれないためのコツ

をご紹介いたします。

世界の情報を触れる必要性

第二のペリー来航の到来

1853年、ペリーの黒船が来航しても、江戸幕府は未来永劫続くとほとんどの人が思い込んでいました。しかし、ペリー来航からわずか15年で260年続いた江戸幕府はいとも簡単に滅びました。

そして現在、平成が終わり、令和という新しい時代。次なる脅威として、すべてのビジネスパーソンの前に立ちはだかるのが、グローバル化とAI (人工知能)化です。

現在、多くの日本人も幕末の日本人同様、「まあ、なんとかなるさ」と捉えて、グローバル化とAI化の動きをあまり気にしていないかもしれません。

しかし、現在の2つの黒船、すなわちグローバル化とAI化は、現役世代は十分に理解し、何らかの打ち手を講じておくことが必須です。その理由を、すでにグローバル化が進んでいる現象で解説します。

グローバル化の脅威

給与水準が比較的高い日本人のビジネスパーソンが海外のビジネスパーソンに代替されてしまうという脅威です。

日本は上級管理職を含めた経営者層、一部のIT技術者は別として、同規模・同業種の世界の企業と比較すると、国や業種にもよりますが、初級管理職クラスまでは比較的給与が高い傾向にあります。

しかし、ここで「給料が高くてラッキー」などと思ってはいけません。給与が高いということは、企業側から見ると、「抑えられるべきコスト」です。

同じパフォーマンスであるならば、人件費を抑えることのできる新興国をはじめとした、海外での雇用にシフトすることを企業サイドは考えるのが妥当でしょう。

自動車や家電などの工場の生産拠点が日本からコストの安い海外に移っていったことは周知の通りです。

また都内でコンビニの店員には外国人労働者が急増したように、今後マーケティングや研究開発などの拠点がどんどん海外に移っていく可能性があります。

そのため、日本人の仕事が海外に代替されつつある中で、国内だけに閉じた視点で、他社の社員と給料を比較するだけでは不十分なのです。

自らの雇用や給与を、これからは世界視点で見ていかなくてはいけません。

AI化の脅威

今後、多くの仕事はAIに置き換わっていきます。

生産現場だけでなく、事務、営業、中間管理職、さらには経営者の仕事までAIに置き換わっていく可能性があります。

英オックスフォード大学でA1の研究を行なうマイケル・A・オズボーン准教授によれば、今後米国の雇用の47 %は、AIなどによって失われる・・とされています。

また、ダボス会議を創設したクラウス・シュワブ氏は、「2020年代半ばまでにニュースの90 %は人間の介在をほとんど必要としないアルゴリズムで生成される」可能性を指摘しています。

現在は、指数関数的な変化の時代といわれています。

指数関数的な変化とは、AIを含むIT技術やそのサービスの進化が線形のように徐々に変化するのではなく、何乗という指数関数のようにある段階から一気に急激に変化・成長するという意味です。

1990年代初頭には存在しなかったグーグルやアマゾン、フェイスブックは、このような指数関数的な変化の波に乗って一気に市場を席巻しました。

グローバル化とAI化、これらの脅威のため、これまで存在した仕事が一気になくなる危険性が高まっています。

国内外の有識者が薦める海外の情報収集法

日本国内でなされる海外の報道は、政治か経済成長や失業率といったマクロ経済に偏っていて、個別具体的なビジネス情報はあまりにも少ないです。

たとえば、米国大統領の一挙一動については報道されていても、シリコンバレーをはじめとする、米西海岸のスタートアップ企業によるイノベーションについて、報道されることは殆どはありません。

実は、これには理由があります。

それは政治やマクロ経済の方が庶民にとってわかりやすく、面白おかしく報道できる話題だからです。

選挙や政治スキャンダル、株価暴落などもわかりやすく、テレビを見ている日本人の注目を集めやすいためです。基本的にテレビがターゲットにしている視聴者層というのは年収の低い庶民です。

IoTやAIなどの最新テクノロジーの動向は、一定の前提知識がなければ、何が先進的であるかすらわからなかったり、庶民に開示すると都合の悪い情報も含まれているからです。

テレビ以外のメディアでも、実際、あるベテラン経済記者は、「ITやAIなど新しい分野への取材は弱い」と指摘しています。我々としては良質な経済ビジネス雑誌やニュースサイトで取り上げられている海外情報を蓄積していくことが重要になります。

良質な海外ニュースを収集する方法

現実的には海外ニュースを現地語ですべてを理解することは到底できないため、翻訳や通訳に頼らざるを得ません。

その点でオススメできるのは、NHKの衛星放送(BS1)の海外ニュースです。同時通訳でそのまま報道しているので、英語のメディアに限らず、ロシア語、中国語、スペイン語、フランス語、アラビア語などの各国メディアに触れることができます。

また、CNNやBBCを視聴契約すると、音声切り替えで日本語で視聴できます。

雑誌については、「ニューズウィーク日本版」が世界のニュースを日本とは違った切り口で深掘りしているため、読む価値があります。

書籍については外国人が執筆したものをなるべく原書で読むことが理想的ですが、僕も言葉の壁に阻まれていて、その場合翻訳本でとりあえず構いません。

ただ翻訳されている書籍という時点で、選択肢が狭まったり、時間的にタイムリーでなかったりはします。

一方で現在は「NewsPicks」など最先端情報を発信する経済情報サイトがあります。

しかしこれも、世界に通用するという観点からは、日本では世界の経済ビジネス情報は不足してしまいます。

そこで、国内外の有識者を対象に「どの雑誌が世界の大きな潮流を読むのに一番妥当か」調査しました。その答えで最も多かったのは、英「エコノミスト(The Economist)」でした。

日本の毎日新聞出版が出している「週刊エコノミスト」ではないのでご注意ください。エコノミストは、世界のクオリティ・マガジン(評価されている質の高い雑誌の意味)です。

冒頭にその週の政治・経済・ビジネスの世界のサマリーがあり、その後に特集、各地域別の主要記事、金融などの分野に分かれています。

論調は、グローバル化や市場原理を重視する一方で、経済的な格差拡大には懐疑的な記事も多数出しています。

雑誌巻頭のThe World This Weekは、世界の1週間のニュースが政治とビジネスに分かれ、コンパクトにまとまって掲載されています。

これを読むだけでも世界の大局観を大きく掴めます。日本のメディアではあまり取り上げられていない記事も多いです。

中東・アフリカ・中南米の情報

特定の国や地域についてはまったく知らないということを避けることが非常に重要です。それは、このグローバルな時代では知らない国や地域の事情が他の国・地域に影響を及ぼしているからです。

日本のメディアの海外報道は、米国、中国、韓国、次いで欧州、その他アジアの記事が多い一方、中東、アフリカ、中南米についてはかなり少ないのが現状です。

欧州も英国、フランス、ドイツやロシアなど主要国や大国を除くと極端に少なくなるという傾向があります。

世界中のどの国でもビジネス取引が生まれる時代に、米国とアジア、欧州のニュースが海外情報であると勘違いしてしまうと、ビジネスに大きな制約を受ける可能性があります。

海外進出しようとする経営者でも「中東やアフリカについては知らない」「中南米は遠くてよくわからない」という人は多いのですが、それはマスメディア情報自体が偏っているのが原因です。

そこで、中東・アフリカ・中南米の情報は小さくても注意を払うように習慣づけると、チャンスに幅をもたせることができます。

情報に飲み込まれないためのコツ

「情報」とは

そもそも情報とは何でしょうか?これは「情報」という漢字を見てみるとわかります。「情報」というのは「情に報いる」と書きます。相手のことを想い伝えることが情報の本来の意味なのです。

情報の起源とは、戦争で最前戦にいる兵士たちに向けて、指揮官は何を伝えるのがベストなのかを考えたことから始まります。命がけで戦っている兵士に情(なさけ)を報いる行為が、情報の語源となったのです。

なぜガセネタが横行するのか

どんな時代にも、ガセネタはなくなりません。何が原因なのでしょうか?それは情報の受け手に問題があります。

情報は、それを誰が発信したのか?を知ることが最も重要です。伝言ゲームを想像すれば、すぐに理解できます。どんな単純な情報でも5人も介せば、最初の言葉の面影はありません。

つまり情報には、発信者の意図が含まれているのです。

発信者がどんな思いで発しているか?を確認することがガセネタをつかまされない唯一の方法です。

プロパガンダ

プロパガンダとは、宣伝とか政治宣伝という意味で、場合によっては「大衆操作、洗脳」と同じような意味で使われます。

政党や指導者が、大衆の行動や態度を意図的に操作しようと働きかけることです。

そんなこと許されない・・と思うことでしょうが、これが合法的かつ自然と行なわれて来たのは確かです。

大手メディアの報道というのは、それだけで信憑性があり、信頼できると錯覚してしまうのです。

信じてしまう人の心理

テレビや新聞の情報に踊らされる人の心理としてハロー効果があります。社会心理学の現象である認知バイアスの1つで、後光効果、光背効果などとも呼ばれています。

ある特定の望ましい特徴をもっていると、その人物に対する全体評価までも好ましくなるという心理効果です。

タレントが商品を紹介しているテレビCMがよくあります。

その有名人と商品は因果関係がないにも関わらず購入してしまった・・などという経験はありませんか?

これがまさにハロー効果です。好きな有名人であれば、関係ないその商品も好きになってしまうという心理なのです。

このように情報というのは、発信者の意図や思惑があって流れているものが殆どです。

スポンサーがCMや広告に巨額の資金を投じて宣伝するのは、この効果を狙っているからなのです。

まとめ

さて、ここまで見てきたように、グローバル化やAI化によって代替で仕事を失ってしまうのではなく、自ら人材としての開発戦略を大きく変え、自らの市場価値を上げ、世界に通用する人材になる必要があります。

このような状況を克服するには、経済ビジネス雑誌やニュースサイトで取り上げられている海外企業の動向や新サービス、テクノロジーの動向について、かなり意図的に情報を蓄積していくことが重要です。

取り上げた方法を試して、もし自分に合うものがあれば、ぜひ習慣化を目指して取り入れてみてください。

これらを踏まえて、いま我々に必要なのは「情報を汲み取る力」です。精度のいい情報、純度のいい情報をいかに早く収集できるかがポイントとなります。

意識し、知ることで、情報に流されない軸を持つことができるのです。

前提知識がなければ情報の意味に気づくことができません。

知識があるから兆しの意味に気づき、兆しの情報があるから知識で確認しようとします。情報と知識は車の両輪のような、相乗効果を生み出すことでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*