
DSCR(返済余裕率)は、不動産投資の融資を受けるときに、金融機関が返済の安全度を測る指標のひとつです。家賃収入から経費を引いた収益で、毎年の返済額をどれだけ余裕を持って賄えるかを示します。この記事では、DSCRと返済比率の計算方法、目安、計算例を解説します。

DSCRとは?計算方法
DSCRは「Debt Service Coverage Ratio」の略で、年間の元利返済額に対して、収益がどれだけあるかを示す指標です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | DSCR = NOI(営業純収益) ÷ 年間の元利返済額 |
| NOI | 年間の家賃収入(空室損失を考慮)から、運営経費を引いたもの。返済額は含まない |
| 意味 | 1.0なら、収益が返済額とちょうど等しい。1.0未満は、収益だけでは返済できない状態 |
| 目安 | 一般に1.2〜1.3以上を求める金融機関が多いといわれるが、金融機関・物件によって異なる |
DSCRの計算例
次の例で、DSCRを計算してみます(数値は仮の例です)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間の家賃収入(満室想定) | 600万円 |
| 空室損失(10%を想定) | ▲60万円 |
| 運営経費(管理費・修繕費・税金・保険など) | ▲120万円 |
| NOI | 420万円 |
| 年間の元利返済額 | 330万円 |
| DSCR | 約1.27(420万円 ÷ 330万円) |
この例では、DSCRは約1.27です。金融機関の求める水準を満たしている可能性があり、家賃収入が多少減っても返済できる余裕があるといえます。

返済比率とは
返済比率は、家賃収入に対する年間返済額の割合です。計算式は「年間返済額 ÷ 年間家賃収入」です。
- 返済比率が低いほど、家賃収入の中で、返済に回す割合が小さく、余裕がある
- 上の例では、330万円 ÷ 600万円 = 55%
- 金融機関によって、許容する返済比率の目安が異なる
- 返済比率が高いほど、空室や家賃下落の影響を受けやすい
DSCRは経費を考慮し、返済比率は経費を考慮しないため、同じ物件でも、2つの数字の見え方が変わります。両方を確認することが大切です。
DSCRを改善するには
- 借入額を減らす(自己資金を増やす)
- 返済期間を長くして、年間返済額を下げる(ただし、総利息は増える)
- 金利の低い融資に借り換える(借り換え)
- 家賃を適正に引き上げる、または空室を減らして、収益を増やす
- 運営経費を見直す
DSCRに関するよくある質問
Q. DSCRが1を下回っていると、融資は受けられませんか?
A. 収益だけでは返済できない状態のため、融資の審査では厳しく見られます。ただし、本人の他の収入で返済できる場合など、総合的に判断されることもあります。
Q. DSCRの目安はいくつ以上ですか?
A. 一般に1.2〜1.3以上が目安といわれることが多いですが、金融機関や物件・エリアによって異なります。事前に、金融機関に確認してください。
金利が上がると、DSCRはどう変わる?
DSCRは、金利の上昇で、返済額が増えると、低下します。次は、NOI(営業純収益)420万円、借入5,000万円・返済期間25年・元利均等返済で、金利ごとのDSCRを試算した例です(目安)。
| 金利 | 年間の元利返済額(目安) | DSCR(目安) |
|---|---|---|
| 1.5% | 約240万円 | 約1.75 |
| 2.5% | 約269万円 | 約1.56 |
| 3.5% | 約300万円 | 約1.40 |
| 4.5% | 約334万円 | 約1.26 |
この例では、金利が4.5%まで上昇しても、DSCRは1を上回っています。一方で、NOIが少ない物件や、借入額が大きい場合は、同じ金利上昇で、DSCRが1.0を割り込み、収益だけでは返済できなくなる可能性があります。購入前に、金利が上がったケースまで、DSCRを試算しておきましょう(金利タイプ比較)。
まとめ
DSCRは、NOI(営業純収益)を年間の元利返済額で割って求める、返済の余裕度を示す指標です。1.2〜1.3以上が目安といわれますが、金融機関によって異なります。返済比率とあわせて確認し、金利上昇のシナリオでも返済できるかを試算しておきましょう。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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