
不動産投資で融資を受けて物件を買うかどうかは、購入前の「収益シミュレーション」の質で決まるといっても過言ではありません。家賃収入だけでなく、空室・経費・返済・税金までを織り込んで、毎年いくら手元に残るのかを計算します。この記事では、不動産投資の収益シミュレーションの作り方と、見落としやすいポイントを、計算例つきで解説します。

収益シミュレーションの基本の流れ
収益シミュレーションは、家賃収入から、順番に支出を引いていって、最終的な手残り(キャッシュフロー)を求めます。
計算例(仮の数字)
| 項目 | 年間の金額(例) | 備考 |
|---|---|---|
| 満室時の家賃収入 | 720万円 | 周辺相場から設定 |
| 空室損失(10%) | ▲72万円 | 稼働率90%を想定 |
| 実効収入 | 648万円 | |
| 運営経費 | ▲130万円 | 管理費・修繕費・固定資産税・保険など |
| NOI(営業純収益) | 518万円 | |
| 元利返済額 | ▲380万円 | 借入額・金利・期間から算出 |
| 税引前キャッシュフロー | 138万円 | 減価償却や税金は別途考慮 |
この例では、税引前で年間約138万円が手元に残ります。ただし、実際には、所得税などの税金や、大きな修繕のための積立も必要です。

保守的なシナリオも必ず計算する
シミュレーションは、うまくいくケースだけでは不十分です。次のような悪いシナリオでも、収支が成り立つかを確認します。
- 空室率を、想定より高く見積もる(例:20〜30%)
- 家賃が数年後に下落することを見込む
- 金利が上昇したケースで、返済額を再計算する(金利タイプ比較)
- 大規模修繕など、突発的な支出を入れる(修繕費と大規模修繕)
複数のシナリオで、赤字にならない範囲を確認しておくと、購入の判断が安定します。
見落としやすいポイント
- 購入時の諸費用:利回りの計算に含めないと、実際の投資効率を過大に評価してしまう(購入時諸費用)
- 税金:所得税・住民税や、減価償却による税金の影響(減価償却)
- 元本返済は経費にならない:返済額のうち、元本部分は経費にならず、税金の計算では所得に含まれる
- 出口(売却)の試算:売却価格・残債・売却時の税金も、計画に含める(出口戦略)
特に「元本返済は経費にならない」点は、帳簿上の利益と手元のお金にズレが生じる原因です。「黒字なのにお金が残らない」という状況にならないよう、キャッシュフローで確認しましょう。
収益シミュレーションに関するよくある質問
Q. エクセルで作れますか?
A. 作れます。家賃収入・空室率・経費・返済額・税金を、項目ごとに入力し、数年〜数十年分を並べる形が一般的です。ツールやテンプレートを使う方法もあります。
Q. 何年分をシミュレーションすればよいですか?
A. 融資期間や、売却を想定する時期までの期間で作ります。一般的には、10年〜融資の完済までを見通す人が多いです。
まとめ
不動産投資の収益シミュレーションは、家賃収入から空室損失・運営経費・返済額・税金を順に引いて、毎年の手残り(キャッシュフロー)を求めます。うまくいくケースだけでなく、空室率の上昇や金利上昇、修繕などの悪いシナリオも計算し、赤字にならない範囲で購入を判断しましょう。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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