
融資を活用すると、自己資金だけで買うよりも、自己資金に対する収益率が高くなることがあります。これを「正のレバレッジ」といいます。ただし、常に成り立つわけではなく、借入金利が物件の収益率を上回ると、逆に収益率を押し下げます。この記事では、FCR(総収益率)と借入金利を比べて、融資活用が有利かどうかを判断する方法を、数字の例で解説します。

FCRとCCR:2つの収益率
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| FCR(総収益率) | NOI ÷(物件価格 + 購入時の諸費用) | 借入の有無に関係なく、物件が生む収益率 |
| CCR(自己資金配当率) | 税引前キャッシュフロー ÷ 自己資金 | 自己資金に対する、毎年の手残りの割合 |
NOIは、家賃収入から、空室損失と運営経費を引いた、営業純収益です。返済額は含みません(不動産投資の指標)。
正のレバレッジの条件
借入の金利が、FCRより低ければ、借りたお金で得られる収益が、利息を上回り、自己資金の収益率が高まります。これが正のレバレッジです。反対に、借入の金利がFCRを上回ると、負のレバレッジとなり、融資を使うほど、自己資金の収益率が下がります。
- 金利 < FCR → 正のレバレッジ(自己資金の収益率が高まる)
- 金利 > FCR → 負のレバレッジ(自己資金の収益率が下がる)
- 実際の返済は、元本の返済も含むため、手元のお金の判断には、返済額全体でのキャッシュフローも確認する

数字で比べる:融資の有無と金利の違い
物件価格5,000万円、購入時の諸費用400万円、NOI 420万円の物件で比べます(借入4,000万円・返済期間25年・元利均等返済の場合、数値は目安)。FCRは、420万円 ÷ 5,400万円 ≒ 7.8%です。
| 全額自己資金 | 融資(金利2%) | 融資(金利4%) | |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 0円 | 4,000万円 | 4,000万円 |
| 自己資金 | 5,400万円 | 1,400万円 | 1,400万円 |
| 年間の元利返済額 | 0円 | 約203万円 | 約253万円 |
| 税引前キャッシュフロー | 420万円 | 約217万円 | 約167万円 |
| CCR(自己資金配当率) | 約7.8% | 約15.5% | 約11.9% |
金利が2%でも4%でも、FCR(約7.8%)を下回っているため、融資を使うとCCRが上がっています。一方で、金利が上がるほど、CCRは低下し、キャッシュフローは減ります。
注意:正のレバレッジでも、リスクは大きくなる
- 融資を使うと、返済額が固定費になり、空室や家賃下落の影響が大きくなる
- 変動金利で借りた場合、金利上昇で、レバレッジの効果が薄れ、収益が悪化する(金利タイプ比較)
- DSCRなどの安全度指標も、必ず確認する(返済比率とDSCR)
- 物件の価格が下がると、残債が評価額を上回るリスクがある(融資割合(LTV))
よくある質問
Q. FCRが高ければ、いくら借りても有利ですか?
A. 借入が増えるほど、返済額が増え、空室や金利上昇に対する耐性が下がります。収益率だけでなく、DSCRなどの安全度も、同時に確認してください。
Q. FCRはどのくらいあれば、よいですか?
A. 物件や、エリア・築年数で異なり、一律の基準はありません。借入金利を上回っているか、悪いシナリオでも、キャッシュフローが成り立つかを、確認しましょう。
まとめ
融資を使うと、借入金利がFCR(総収益率)を下回る限り、自己資金の収益率(CCR)が高まる正のレバレッジが働きます。金利がFCRを上回れば、負のレバレッジとなります。CCRとキャッシュフローを複数の金利で試算し、DSCRなどの安全度とあわせて、借入額と金利タイプを判断しましょう。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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