
不動産投資の節税を語るうえで、欠かせないのが「減価償却」です。建物の購入費用を、法定耐用年数にわたって、毎年少しずつ経費にしていく仕組みで、実際にお金が出ていかない経費として、所得を圧縮できます。この記事では、減価償却の仕組みと、中古物件での計算方法、節税効果と注意点を解説します。

減価償却とは?
建物や設備は、時間とともに価値が減っていきます。税法では、購入費用を一度に経費にせず、決められた年数(法定耐用年数)で分けて、毎年経費にするルールがあります。これが減価償却です。
- 減価償却費は、実際には支出を伴わない経費で、不動産所得を小さくできる
- 土地は減価しないため、減価償却の対象にならない(購入価格を、建物と土地に分ける必要がある)
- 建物の減価償却は、平成10年4月以降に取得したものは、定額法のみが使える
法定耐用年数は、構造ごとに決まっています(構造別の耐用年数)。
中古物件の耐用年数の計算
中古の建物は、新築の耐用年数をそのまま使わず、築年数を考慮した「簡便法」で計算するのが一般的です。
| 状況 | 計算式 |
|---|---|
| 耐用年数の全部を経過している場合 | 法定耐用年数 × 20% |
| 耐用年数の一部を経過している場合 | (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20% |
1年未満の端数は切り捨て、2年未満になる場合は2年とします。

計算例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件 | 築25年の木造アパート(法定耐用年数22年) |
| 建物の取得価額 | 1,000万円(土地とは別に按分した金額) |
| 耐用年数 | 22年 × 20% = 4.4年 → 4年 |
| 償却率(定額法・4年) | 0.250 |
| 年間の減価償却費 | 1,000万円 × 0.250 = 250万円 |
| 償却期間 | 4年間 |
この例では、4年間、毎年250万円を経費にできます。短期間に大きな経費を計上できるため、その間の所得税・住民税を圧縮できます。ただし、償却が終わると、経費が減り、課税所得が増える点には注意が必要です。
減価償却の注意点
- 節税の効果は、一時的:償却が終わると、課税所得が増える
- 売却時に影響する:減価償却した分は、取得費から差し引かれ、譲渡所得が増える(不動産売却の税金)
- 融資への影響:減価償却で所得が小さくなると、融資審査で、収入が低く評価される場合がある
- 赤字になる場合:損益通算の仕組みや、制限を確認する(損益通算)
減価償却に関するよくある質問
Q. 減価償却費は、いくらでも自由に計上できますか?
A. 定額法の場合、計算で決まった金額を計上するのが原則で、自由には調整できません。
Q. 築古の木造は、節税に向いていますか?
A. 短期間に大きな減価償却費を計上できるため、節税効果が出やすい一方、融資期間が短くなるなどの課題があります。税金だけで判断せず、収支全体で検討しましょう。
建物と土地の按分、設備の償却
減価償却の対象は、建物と建物附属設備です。土地は対象外のため、購入価格を、建物と土地に分ける(按分する)必要があります。
- 売買契約書に、建物と土地の価格が、別々に記載されていれば、その金額を使うのが基本
- 記載がない場合は、固定資産税評価額の比率や、不動産会社の査定などで、合理的に按分する
- 建物の割合が大きいほど、減価償却費が大きくなるが、根拠のない極端な按分は、税務調査で指摘されるおそれがある
| 例 | 金額 |
|---|---|
| 購入価格(総額) | 5,000万円 |
| 固定資産税評価額(土地) | 2,000万円 |
| 固定資産税評価額(建物) | 1,000万円 |
| 建物の按分割合 | 1,000万円 ÷ 3,000万円 ≒ 33.3% |
| 建物の取得価額(目安) | 約1,667万円 |
建物の中の設備(給排水設備・電気設備・冷暖房設備など)は、建物とは別の耐用年数(多くは15年程度)で償却できる場合があります。区分の方法は、国税庁の耐用年数表や、税理士に確認してください。
まとめ
減価償却は、建物の購入費用を法定耐用年数で分けて、毎年経費にする仕組みです。中古物件は簡便法で耐用年数を計算し、築古の木造では短期間に大きな減価償却費を計上できます。ただし、効果は一時的で、売却時の税金や融資審査にも影響するため、全体のバランスで判断しましょう。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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