
融資を使った不動産投資では、売却時にいくらで売れるかが、最終的な成果を、大きく左右します。その売却価格を見積もるときに、多くの投資家が使うのが、「出口キャップレート」です。この記事では、出口キャップレートの意味と、売却想定価格の計算方法、キャップレートの違いが、手取りと投資の収益率に、どう影響するかを、数字の例で整理します。

出口キャップレートとは
キャップレート(収益還元利回り)は、物件の収益に対して、投資家が求める利回りの水準です。収益還元法では、売却想定価格を、次の式で求めます。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 売却想定価格 | 売却時のNOI ÷ 出口キャップレート |
| 売却時の手取り(借入返済前) | 売却想定価格 − 売却費用(仲介手数料など) |
| 売却後の手残り | 売却時の手取り − そのときの借入残高 |
NOIは、家賃収入から、空室損失と運営経費を引いた、営業純収益です(不動産投資の指標)。
数字で見る:キャップレートで変わる手残り
購入価格5,000万円、諸費用400万円、NOI年420万円、借入4,000万円(金利2%・25年)の物件を、10年後に売却する例です。10年後の借入残高は約2,635万円です。NOIは、10年間、変わらないと仮定します。売却費用は、仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)として計算しました。
| 出口キャップレート | 売却想定価格 | 売却費用 | 残債返済後の手残り | 自己資金1,400万円に対するIRR |
|---|---|---|---|---|
| 7% | 約6,000万円 | 約205万円 | 約3,161万円 | 約20.3% |
| 8% | 約5,250万円 | 約180万円 | 約2,436万円 | 約18.5% |
| 9% | 約4,667万円 | 約161万円 | 約1,871万円 | 約17.0% |
| 10% | 約4,200万円 | 約145万円 | 約1,420万円 | 約15.5% |
キャップレートが、1%違うだけで、売却時の手残りは、数百万円単位で変わります。購入時のFCR(総収益率)が約7.8%なので、出口のキャップレートが、それより低い(7%)なら、売却益が出て、高い(9〜10%)なら、売却価格は購入価格を下回ります。

出口のキャップレートを、どう置くか
- 購入時と同じか、やや高め(保守的)に置くのが、基本的な考え方
- 築年数の経過で、建物の評価は下がり、買い手が使える融資の期間も、短くなる傾向がある(融資期間と築年数)
- エリアや物件タイプによって、キャップレートの水準は異なる
- 金利が上昇する局面では、買い手の融資条件が厳しくなり、キャップレートが上がる(価格が下がる)可能性がある
よくある質問
Q. キャップレートは、どこで調べられますか?
A. 不動産会社や、金融機関、市場レポートで、エリア・物件タイプ別の目安が、公表されることがあります。購入しようとする物件の、周辺の売買事例からも、おおまかな水準を、確認できます。
Q. 売却時の価格が、残債を下回る場合は、どうなりますか?
A. 売却しても、借入が残るため、不足分は、自己資金で、返済する必要があります。そのため、残債と、物件の売却想定価格の差を、定期的に確認することが重要です。
まとめ
出口キャップレートは、売却想定価格を求めるための、基準です。わずかな違いで、売却時の手残りと、投資の収益率が大きく変わるため、購入時と同じか、やや高めに置いて、複数のパターンで試算しましょう。残債が売却想定価格を上回らないかを、定期的に確認することも、欠かせません。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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