
不動産投資を拡大していくと、「個人のまま続けるか、法人を設立するか」が、大きな選択になります。法人化には節税や融資面のメリットがありますが、設立費用や社会保険、事務負担などのデメリットもあります。この記事では、個人と法人の税金の違いと、法人化を検討する目安、注意点を整理します。

個人と法人の税金の違い
| 個人 | 法人 | |
|---|---|---|
| 課税される税金 | 所得税・住民税(超過累進税率) | 法人税・法人住民税・法人事業税 |
| 税率の考え方 | 所得が増えるほど、税率が上がる(所得税は5〜45%、住民税は10%) | 所得に対して、おおむね20〜30%台の実効税率(所在地や所得規模で異なる) |
| 経費の範囲 | 事業に関係する支出 | 役員報酬・社宅・出張手当など、範囲が広がる場合がある |
| 赤字の繰越 | 青色申告で3年 | 青色申告で10年(法人の場合) |
| 維持コスト | 少ない | 設立費用・社会保険・税理士費用など |
個人の所得税は、所得が増えるほど税率が高くなるため、不動産所得が大きくなると、税負担が重くなります。
法人化を検討する目安
- 不動産所得や、給与所得を含む課税所得が、一定以上(900万円前後がよく挙げられる目安)になり、税率が高くなっている
- 物件数が増え、管理や事業としての規模が大きくなっている
- 相続や、事業承継を見据えて、資産を法人に集めたい
- 家族への給与・役員報酬を、事業として支払いたい

法人化のメリット・デメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 所得が大きい場合に、税率を抑えやすい。経費にできる範囲が広がる。赤字を10年間繰り越せる。相続対策に活用しやすい |
| デメリット | 設立費用や、社会保険料の負担がある。赤字でも、法人住民税の均等割(最低数万円)がかかる。融資の評価が、個人とは異なる。個人から法人へ物件を移すと、税金・登記費用がかかる。事務負担が増える |
法人の場合、融資の審査では、決算書が重視されます(金融機関に出す書類)。個人の属性が高い人は、個人名義のほうが、融資を受けやすい場合もあります(年収・勤務先と融資)。
法人化を検討する手順
法人化に関するよくある質問
Q. 不動産が1棟でも、法人化は意味がありますか?
A. 物件数が少ない段階では、設立・維持のコストが、メリットを上回ることもあります。所得の規模と将来の計画をもとに、判断しましょう。
Q. 個人で購入した物件を、法人に移せますか?
A. 売買や、現物出資などの方法で移せますが、不動産取得税・登録免許税・譲渡所得税などがかかる場合があります。慎重に検討してください。
法人設立にかかる費用と手順
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税(最低額) | 15万円(資本金×0.7%が15万円を超える場合は、その額) | 6万円(資本金×0.7%が6万円を超える場合は、その額) |
| 定款認証の手数料 | 約3〜5万円(資本金の額による) | 不要 |
| 設立費用の合計(目安) | 約20〜25万円程度 | 約6〜10万円程度 |
| 特徴 | 社会的な信用が高いとされる。機関設計はやや複雑 | 設立コストが低く、運営が簡素 |
設立後は、税務署・都道府県・市町村への届出、法人口座の開設、社会保険の加入、会計・申告の準備など、さまざまな手続きが必要です。法人は、赤字でも法人住民税の均等割がかかるなど、維持にもコストがかかります。設立の前に、税理士に相談して、全体のコストを試算しておきましょう。
- 設立の流れ:事業目的・商号・資本金などを決める → 定款の作成 → 登記申請 → 各種の届出
- 個人所有の物件を移す場合:売買や現物出資の際に、税金・登記費用がかかる
- 融資:設立直後の法人は、決算の実績がなく、融資の評価が難しい場合がある
まとめ
不動産投資の法人化は、所得が大きくなったときに税率を抑えやすく、経費の範囲や赤字の繰越でも有利になる場合があります。一方で、設立・維持のコストや、融資の評価の違い、物件移転の税金などのデメリットもあります。税理士に複数パターンで試算してもらい、判断しましょう。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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