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織田信長の名言に学ぶ、戦国時代を生き抜く2つのマネー術③

戦に勝てるかどうかと兵力は必ずしも比例しない。

「戦に勝てるかどうかと兵力は必ずしも比例しない。比例するかそうでないかは戦術、つまり自身にかかっているのだ」
この言葉の出典は明確ではありませんが、信長の発言として知る人ぞ知る名言となっています。

意味合いとしては「戦においては兵力の大小よりも、兵力を生かすための戦術の方が大事である」といったように解釈ができます。

「比叡山の焼き討ち」や「髑髏の盃」の記録が残っているほど苛烈な所業で力を誇示したかのように見える信長。

しかし、戦においてはただ力に頼るのではなく、抜け目なく戦術を磨いていました。「長篠の戦い」での鉄砲の使用からも分かるように当時の

最新兵器をいち早く取り入れたり、集団戦に優れた長槍部隊を編成したりしていることがそれを示しています。

そして、これまで紹介してきた信長の言葉の中でも一番実践的な言葉になっているのではないかと思います。
なぜそうかというと、「戦」を「ビジネス」、「兵力」を「お金」または「財力」と置き換えると見えてきませんか。

つまりこうなります。「ビジネスの勝率とお金は必ずしも比例しない。比例するかそうでないかは戦術、つまり自身にかかっているのだ」
ビジネスにも通ずる信長の戦。ここからはより具体的な考察を行っていきましょう。

【奇襲ではなかった!?桶狭間の戦い】

「桶狭間の戦い」

この言葉を象徴するのに現代でも良く引き合いに出されるもの有名な「桶狭間の戦い」があります。

時は1560年。信長の領地尾張を攻めるべく今川義元は25000名もの兵を率いて向かいます。一方、迎え撃つ織田信長の兵はわずか5000名、その

兵力の差は5倍。兵の数には多少誇張が入っているかもしれませんが、大きな兵力差のある戦いに信長が臨まなければならなかったのは事実のようです。

では、なぜ信長はそのような状況の中で今川義元を迎え討ち、大逆転を収めることができたのでしょうか。

相手となる今川義元は当時絶大な権力を持つ大名。駿河、遠江(とおとうみ)、三河、尾張の東部を支配し、今で言えば愛知から静岡までの領地を持つ「100万石の大大名」と言えば権力の大きさがお分かりになるはずです。

それから、東は北条氏、北は武田氏と同盟を結んでいたので、その地位が脅かされるなど考えられないことでした。

当時、今川義元は45歳、戦の経験も豊富で脂が乗りきっている絶頂期といっても過言ではない年齢です。対して織田信長は若干27歳、尾張の5分の2程度を領有する17万石の大名。今川義元にとっては信長など子犬のような弱小者にしか映らなかったはずです。

案の定、織田軍は苦戦を強いられます。

次々と織田勢の砦や城は陥落、重臣の織田秀敏や佐久間盛重が戦死。待機していた信長は清州城を飛び出し自ら兵を率いて奮戦するも今川勢の勢いは衰えず、もはやこれまでかと思われた戦の3日目。

昼過ぎに突然の豪雨で視界不良となった戦場、織田信長は残った2000名の兵を率いてなんと今川義元率いる本隊を強襲したのです。

今川軍本体の一部といえど数は6000名でそれでも兵力の差は3倍もあったのですが、士気・戦闘能力の高い織田勢の奇襲に今川勢は混乱。

徐々に陣営は崩れていき、ついに今川義元は討ち取られ首は信長の手にするところとなったのです。これが世間によく知られている「桶狭間の戦い」となります。

しかし別の見方では、信長は各地に人をやり綿密な情報収集をしたおかげで地の利にも以前から通じ、今川軍の動きは随時把握していたと言われています。
その上で精鋭を集めどんな劣勢にあっても「一発逆転」「突破口」を見逃すことなく虎視眈々とチャンスを伺っていたわけです。

織田信長は「天才で短絡的な性格」と見られがちですが、実は大変な合理主義者として刻々と変わる状況を冷静に受け止め次々と的確な対応をしていたのです。

この時、もし負ければもちろん死あるのみ、遅かれ早かれ今川義元が尾張を攻撃してくることは予想がついていたものと思われます。

ですから、今回取り上げた言葉からも見られるように兵力数にとらわれない柔軟な考え方により歴史的な大勝利を収めることができたのです。

 

【マネー術①行動しなければ何も起こらない!】

「マネー術を身につけたい、お金を増やしたい!」

「お金を怖がったり、お金に使われるのではなく、お金を使いこなせるようになりたい!」

そんなふうに頭の中で考えているだけで、マネー術の達人になれるのでしょうか?

心の中で一生懸命願ったり祈ったりしていれば、お金が増えたり、お金を使いこなせるようになるのでしょうか?どんな立派な夢を持っていても、それに向かって行動を起こさなければ、ただの絵に描いた餅になってしまいます。

マネー術を身につけ、お金を使いこなせるようになるためには、やはり「行動」を起こさなければ始まりません。

今回取り上げている言葉は何かしらの行動をしなければ死が待っている戦国時代の言葉です。ですから、行動ありきの言葉ともとれます。

しかし、便利になりすぎた現代の世の中では行動を起こさなくともそれなりの生活が送れます。そして、そんな世の中で行動を起こすには強い意志が必要となります。

「人 城を頼らば 城 人を捨てん」

それを見越したかのように信長は、こんな言葉も残しています。

「人 城を頼らば 城 人を捨てん」

この言葉は、「城を頼りきり外への目をつぶるようでは、いずれその城がその者を滅ぼすだろう」という意味になります。

戦国時代において城は当主にとって何よりも大事なものという考えがありました。何を失くしても城さえあれば自分を(自分の領地を)守ることができるという考えが主流だったのです。

しかし信長は、桶狭間の戦いで「籠城した方が良い」という意見が大半だった中、あっさりと城を後にして今川義元を討ち取るまでになります。

つまりは、籠城という「行動しない」に近い選択よりも、攻め込むという「積極的な行動」を選んだといえます。

日常的なことで例えるなら、「貯金」です。

「お金を貯めなければ・・」

という思いにかられ日常生活に少しの潤いも与えず、大した行動もしないまま貯金だけする生活を送ることが本当に幸せといえますか?お金が動かないと経済が回らないとも言われます。

ですから、貯金に回せるお金があるなら、それを株式や不動産などの投資に使ってみてください。それが一つの行動になります。

「では実際に行動を起こすにはどうしたらいいのか」

そのような疑問が浮かぶはずです。

「行動活性化療法」

一つの事例として、うつ病の治療法として「行動活性化療法」と呼ばれるものがあります。

この療法では、うつ気分が「回復するのを待つ」のではなく、まず本来の目的(たとえば仕事に復帰するなど)に向かって、「今できる」行動を起こしていくことが重要視されます。

要するに、やる気が出てくるのを待って行動を起こすのではなく、先に行動を起こし「行動をすることによって気分が上がってくる、さらにやる気が出てくる」ということを目指すわけです。

その効果を示したのがイギリスのエクセター大学で行われた研究で「この療法によるうつ病の治療には、日本でもよく行われている認知行動療法と同程度の効果がある」とされています。

また、やる気になるのを待つより、先に行動を起こすことの大切さは、脳科学的にも裏付けられています。

脳の大脳基底核にある「淡蒼球」と呼ばれる部位の活動が活発になると、意欲的な状態、つまりやる気のある状態になることが分かっています。

ところが、この「淡蒼球」は脳の働きによって直接的に活性化されるのではなく、身体の動きが伝えられた結果として活発に活動するらしいことが明らかになってきたのです。

これらのことから言えるのは、人は「やる気があるから行動する」というよりも、「行動するからやる気が出てくる」といった方が正しいかもしれないということです。

ですから、目標や夢のためにあれこれ思案するばかりするよりも、行動する方がやる気も出てその目標や夢の実現につながります。

【マネー術②やみくもに行動するな!】

「行動分析学」

ただ、行動を起こすといっても、いきなり本格的な行動(例えば、いきなり投資会社や不動産会社と契約するような)を起こせばいいというものでもありません。

ところで、みなさんは「行動分析学」と呼ばれる心理学の学派はご存知ですか。行動分析学では、下等動物の行動から人間の高度な言語行動(認知や思考)に至るまで、ありとあらゆる「行動」が研究対象とされています。

この行動分析学の中に「シェイピング(行動形成)」という方法論があります。別名「漸次的接近法」とも呼ばれ、一気に目標とする行動ができるようになることを目指すのではなく、

スモールステップで、今できることから少しずつ成功体験や知識を積み重ねながら歩みを進めていった方が、目標とする行動を身につけやすいとされています。

これをマネー術に置き換えてみると、いきなり投資会社や不動産会社と契約するのではなく、まずは投資について本やネットのサイトを読んだり、

セミナーへ行ったりして勉強し、戦略を練ることが大切だということです。

戦略を練るにあたっては、人間の心理的な特性について知っておく必要があります。

「満足化の原理」

かつて伝統的な経済学では、「人間は自らの利益を最大化するため、常に合理的な行動を選択する生き物であると」考えられていました。

しかし、経済学に心理学の知見を取り入れた行動経済学という比較的新しい学問分野の研究によれば、そのような人間像は決して正しいとは言えないことが分かってきたのです。

1978年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの認知心理学者で経営学者でもあるハーバート・サイモンは「人間は、ある程度目的を達成できるような水準の選択肢があればそれを選択し、

そこで満足してしまって、さらに利益を最大化するような選択肢を探すようなことはしない」と言っています。

このような人間の傾向は「満足化の原理」と呼ばれています。

「プロスペクト理論」

それに加えて、アメリカの心理学者でダニエル・カーネマン(2002年ノーベル経済学賞受賞)とイスラエルの心理学者エイモス・トヴェルスキーが提唱した「プロスペクト理論」では、

客観的に低い確率で起こることは実際よりも過大評価され、

逆に客観的に高い確率で起こることは実際よりも過小評価されること

なども指摘されています。

例えば、宝くじで一等に当選する確率や、飛行機事故などめったに起きない事故に遭う確率は実際よりも高く感じられるのに、生活習慣病にかかる確率や、車で事故を起こす確率などは実際よりも低く見積もられてしまうということです。

これら以外にも人間の傾向は、多く存在しています。

そして、このような傾向について知っているのと、知っていないのとでは大きな違いがあります。ある程度の兵力に満足するのではなく、しっかりと戦略を練って行動することで理想の実現が可能となるのです。

それを示してくれているのが「戦に勝てるかどうかと兵力は必ずしも比例しない。比例するかそうでないかは戦術、つまり自身にかかっているのだ」なのです。

 

今回話したマネー術については杉田卓哉著「信長から僕が学んだ勝つために一番大切なこと」で分かりやすく学ぶことができます。

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