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「縁」を「結ぶ」のが出雲大社のご利益

島根県出雲市にある出雲大社は、日本の神社の中でも歴史が古く、国造り神話とも深い関わりがあります。

旧暦10月のことを「神無月」と言いますが、これは八百万の神々が出雲大社に集合して、いろいろな場所から神様がいなくなるということから来ています。

このことからも、出雲大社がとても重要な場所ということがうかがえます。

また、出雲大社に祀られるオオクニヌシノカミ(大国主神)は日本書紀の中でも主役級の神とされています。

出雲大社は一般的には恋愛・結婚の縁結びのパワースポットとして知られていますが、他にも、人間関係全般や仕事の縁にもご利益があると考えられています。

オオクニヌシノカミ(大国主神)の神話を知ることで、そのことにも納得がいくと思います。

出雲大社と神話

出雲大社に祀られているオオクニヌシノカミは、日本の国造り神話でも重要な神で、様々な場面に登場します。

また、オオクニヌシノミコト、オオナムチ、オオアナモチなどいろいろな名前で呼ばれています。

オオクニヌシノカミにまつわる神話をすべて紹介すると分厚い本が書けてしまうくらいの文章量となる程です。

そんなオオクニヌシノカミと出雲大社はどんな関係なのでしょうか?

オオクニヌシノカミは、もともとはオナムチノミコトと呼ばれていました。

スセリビメ(須勢理毘売)を嫁にもらおうとしたことで、彼女の父親であるスサノオノミコト(素戔嗚尊)からいくつもの試練(と言うよりも嫌がらせ)を与えられますが、スセリビメに助けてもらいながらそれを次々と乗り越えます。

そして、スセリビメを正妻に迎え、宇迦の山のふもとの岩の根に立派な新宮を建て、オオクニヌシノカミとして出雲の国造りを始めました。

ところが、天界からその様子を見ていたアマテラスオオミカミ(天照大神)は豊かな出雲の国がどうしても欲しくなり、国を奪うために何度も使者を送り込みます。

最初に送り込まれたアメノホヒノミコト(天穂日命)はオオクニヌシノカミに心酔してしまい、次に送り込まれたアメノワカヒコ(使者天若日子)はオオクニヌシノカミの娘と結婚してしまい、戻ってこなくなるというありさま。

なかなか、アマテラスの思惑通りにはいきません。

アマテラスが次に送り込んだ使者は、力自慢のタケミカヅチ(建御雷神)アメノトリフネノカミ(天鳥船神)

二人の神は稲佐の浜で、オオクニヌシノカミに国を譲るように要求してきます。

オオクニヌシノカミは、自分だけでは決めかねるので二人の息子に聞くように頼みました。

そこでタケミカヅチとアメノトリフネノカミは、オオクニヌシノカミの一人目の息子コトシロヌシノカミに国を譲るようにせまります。

すると、コトシロヌシノカミはあっさり国を譲ることを認め、乗っていた船に隠れてしまいました。

二人目の息子タケミナカタノカミは国譲りを認めずタケミカヅチと戦いますが、あっけなく負けてしまい、出雲の国はアマテラスに譲られることとなります。

こうした経緯から、出雲の国はアマテラスのものになりますが、オオクニヌシノカミは国を譲る際に条件を二つ出しました。

一つ目は、とても大きな宮殿を建てること。この、大きな宮殿が出雲大社です。

そして二つ目は、現世はアマテラスが、幽世はオオクニヌシノカミが治めること。幽世とはこの世とは別の目に見えない世界のことで、幸福はそこからやってくると言われています。

こうした神話から、オオクニヌシノカミは私たちの目には見えない「縁」や「運命」などをつかさどっており、縁結びをはじめとするあらゆる事柄にご利益があると伝えられるようになりました。

ご利益は何?

大社日本に8万社以上あるといわれている神社の中でも「縁結び」のご利益があることで有名です。

縁結びというと恋愛を連想する方も多いと思いますが、出雲大社の縁結びは恋愛だけに留まらず、仕事やお金、友人や職場の人間関係、家族との強い絆など、様々な良縁を取り持っていただけるということで、たくさんの方が参拝に訪れています。

では、様々な良縁をもたらしてくれることで有名な出雲大社のご利益について、さらに詳しくみていきましょう。

恋愛運

出雲大社の境内には、恋愛運が上がるといわれている「縁むすびの碑(いしぶみ)」が手水舎の手前に設置されています。

縁むすびの碑には、オオクニヌシノカミとスセリビメが描かれている日本画の陶板が組み込まれており、陶板の前には2羽のウサギが座っています。

恋愛運や結婚運を上げたいのであれば、ぜひ本殿にお参りする前に、縁むすびの碑にも立ち寄って気分を高めてみてはいかがですか。

子宝

出雲大社は子宝に恵まれるご利益があることでも有名な神社です。

男女は縁があって出会い、結婚して子供ができます。しかし、結ばれても子宝に恵まれない場合もあります。

そう考えると子どもを授かるのもご縁ですので、子宝も縁結びのご利益のひとつとなります。

ですから、今でも国内各地から子宝のご利益を授かれるよう、出雲大社へお参りする男女がたくさん訪れます。

そして出雲大社には、実際に子宝に恵まれたという事例もたくさん報告されています。

商売繁盛

出雲大社に祀られているオオクニヌシノカミは、恋愛以外にも仕事やお金もついてご利益があるといわれています。

仕事やお金も人と人との縁で成り立っているので、その縁を結んでいると思えば納得できるのではないですか。

そんな出雲では旧暦10月に神々が集まってくるので、その月を神「無」月ではなく神「在」月と呼でいます。

金運や商売繁盛をお願いしたい方は、その「神在月」に参拝してみてください。

なぜなら、旧暦の10月にあたる現在の11月に出雲大社では神事が行われており、この期間中に神々の会議場である上の宮に参拝することでお願いを聞いてもらいやすくなるといわれているからです。

また、神々をお迎えする神事の後から神在月の期間中は、八足門内廻廊で繁栄のご利益がある龍蛇神をお参りすることもできますので、その期間中に訪れて自身や会社の繁栄を願ってみることをおすすめします。

参拝のルートや作法

神社を参拝するときには、基本的な参拝作法があると思いますが、地域ごとや有名な神社にもそれぞれ参拝ルートや作法があります。

まず、神社の入り口には必ず鳥居がありますね。鳥居は神域の入り口、つまり家の玄関のような役割がありますので鳥居をくぐる時には一礼して入りましょう。

そして二つ目の鳥居をくぐると、下り参道に入ります。下り参道を下りていくと右手に祓社(はらえのやしろ)という小さな社が見えてきます。

祓社には祓戸四柱神(はらえどよはしらのかみ)という4人の神様が祀られており、参拝者自身が気付かない小さな罪やけがれを祓い清めてくれます。

本社に入る前に、祓社で出雲大社に古来より受け継がれている「2礼4拍手1礼」の参拝作法でお参りします。

次に松並木の参道を渡り、手水舎でお清めをした後、御仮殿(拝殿)と本殿へ向かいます。

御仮殿(拝殿)と本殿も祓社と同様、2礼4拍手1礼の作法での参拝になります。

出雲大社のパワースポット

恋愛以外にもさまざまなご利益があるとされる出雲大社には、パワースポットと呼ばれる場所がいくつか存在しています。

ここでは、おすすめのパワースポットを3つ紹介しておきます。

素鵞社(そがのやしろ)

素鵞社は出雲大社のご本殿裏側にあり、オオクニヌシノカミの祖先でスセリビヒメの父でもあるスサノオノミコトが祀られています。

家の四隅にここの砂を置くと家を守ってくれると言われてるので、もしかすると訪れるだけでも家内安全といったご利益が得られるかもしれません。

また、素鵞社の裏手にある八雲山は、山自体がご神体とされていて、ここからも強力なパワーが取り込めるはずです。

亀の尾の滝

こちらは、出雲大社の東の門の外にあるスポットですが、オオクニヌシノカミにゆかりのある神を祭る社、神事の際に使う水が湧き出る「真名井の清水」、北島国造館などの出雲大社に関係のある聖地が集まっています。

亀の尾の滝は、結婚式や御祈祷が行われる北島国造館内の池の奥にあり、目の前には医療、薬、温泉の神でオオクニヌシノカミと共に国造りを行ったスクナヒコナノカミ(少名毘古那神)が祀られた祠があります。

橋を渡ると、亀の尾の滝が発する清々しい空気をすぐ近くに感じることができ、浄化されるような気分を味わえます。

ムクのご神木

北島国造館の近くにある祠の一つに、命主社(いのちぬしのやしろ)という場所があります。

そこには、兄神から非常な仕打ちを受けたオオクニヌシノカミを助けたカミムスビノカミ(神皇産霊神)が祀られており、その目の前に植えられているご神木が「ムクのご神木」です。

樹齢1000年というだけあって、高さ17メートル、根本周り12メートルの立派な風貌をしており、その姿を見るだけで生命力を感じ取ることができます。

まとめ

国造り神話で重要な立ち位置のオオクニヌシノカミが祀られる、出雲大社。

一般的に恋愛・結婚の縁結びで有名なパワースポットというイメージがありますが、オオクニヌシノカミが幾度もの試練を乗り越えながら妻を娶り国造りを進めたという神話を知ると、仕事や学業でも良い縁を結んでいただけそうな気がしますね。

性別や年齢関係なく、叶えたい夢や目標がある方は一度訪れてみると良いと思います。

また、パワースポットは単にご利益を期待する場所というだけでなく、清々しい自然の空気を味わえる場所でもあるので、「ちょっと息抜きしたい」という時にパワーを分けてもらいに行くのも良いのではないでしょうか。