最近、ビジネスの世界を中心に、ストレス耐性という言葉がよく聞かれるようになっています。
実際に面接においてストレス耐性を測定する企業が増えてきています。
ではストレス耐性とはどのようなもので、仕事をする上でどんな意味があるのでしょうか。
今回は
について考察してみたいと思います。
ストレス耐性とは
それでは早速ですが、ストレス耐性とは何なのかについて見ていきたいと思います。ストレス耐性の必要性や現代社会におけるストレス耐性が持つ意味と併せて紹介します。
ストレスに耐えうる力
ストレス耐性とは読んで字のごとく、ストレスに耐えうる力のことを意味します。
社会で生きていく中で私たちはさまざまなストレッサー(ストレスの原因)にさらされますが、ストレス耐性が高ければ、そのようなストレスとうまくつき合っていくことが可能です。
ストレス耐性の必要性
ストレス耐性が必要な理由としては、会社や職場でのストレスに耐えるためということがあげられます。
ストレス耐性が低いとちょっとしたミスで落ち込んでしまったり、上司の悪気のない叱責を必要以上に深刻に受け取ったりします。
現代はストレス社会とも言われており、さまざまな場面でストレッサーに遭遇します。
会社での人間関係はもちろんのこと、通勤時のラッシュや気温・気圧の上下、仕事の量などいろいろなストレッサーが私たちを待ち受けています。
そのため、あまりにストレス耐性が低いと、社会生活を営むことが困難となる訳です。そのため、ストレス耐性が必要となるのです。
現代におけるストレス耐性の意味
昔と違って現代人は多くのストレスに晒されています。
高度経済成長期には働けば働くほど賃金が上がり、経済も右肩上がりで成長していました。
ところが最近は景気も良くなく、長時間労働を強いられる割には賃金が昔のようにはあがりません。
夏は気温が35度を超えることがざらで、気温や気圧の変化も私たちの身体に多大なストレスを与えます。
ストレスとは何も精神的なものだけではありません。
医薬品などによる化学的ストレス、暑さ寒さといった物理的ストレス、疲労や睡眠不足といった肉体的ストレスといったさまざまなストレスが、複雑に絡みあって私たちの心身にさまざまな影響を及ぼします。
このように、多くのストレスに晒されている現代人だからこそ、ストレス耐性を高く保つ必要があるのです。
ストレス耐性を決定づける3つの要素
ストレス耐性について簡単にですが知ってもらったところで、次にストレス耐性を決定づける3つの要素について見ていきたいと思います。
ストレス耐性が高い人と低い人では、以下の3点が異なっています。
感覚
ストレス耐性が高いか低いかを分ける第一の要素がズバリ感覚です。
同じような事態に遭遇した時に、それをストレスと感じるかどうかは人それぞれです。
例えばある人にとっては癒しであるクラシックミュージックが、ある人にとってはストレッサーとなります。
ストレッサーの存在を敏感に感じられる人の場合、ストレッサーを事前に避けることが可能です。
ややこしい案件を持ち込まれそうな時に敏感に察すれば、余計な仕事を押し付けられずに済むといった具合です。
処理能力
ストレス耐性を決定づける2つ目の要素が処理能力です。
処理能力とはストレッサーに遭遇した時に、ストレッサーを避けたり、ストレスを減らしたりする能力のことです。
同じだけのストレスに晒されても、処理能力が高ければ、ストレスをいなしたりさばいたりすることが可能となります。またストレスを違う方法に向けられる能力があれば、ストレスを力に変えることも可能です。
野球で例えると、自分の前にランナーが3人出たとします。
このときにプレッシャーを感じると本来の力が発揮できなくなりますが、満塁の状況を「おいしい」と捉えることができれば、ストレスを力に変えることができます。
仕事の場面において上司に叱責された時に、ストレス耐性が低いと落ち込んでしまいますが、ストレスに対する処理能力が高いと、「自分は期待されている」とポジティブに処理することが可能です。
経験値
経験値もストレス耐性を上下します。
過去に同じようなストレス状態を経験していれば、ストレスがかかったときにうまく対処することが可能です。
また過去にストレス状態を経験していれば、ストレスをためておける量も増えます。
ストレス耐性の罠
ストレス耐性が高いと、ビジネスシーンやストレスのかかる場面でいいことばかりのように思えますが、実はストレス耐性には罠も潜んでいます。
能力を決定づけるものではない
ストレス耐性の罠としては、ストレス耐性が高いからと言って、必ずしも優秀とは限らないということがあげられます。
最近は入社前の面接でストレス耐性をチェックする企業も増えています。
ただ、ストレス耐性が高いと判断されて入社してきた社員であっても、仕事をできないケースが多々あります。
たとえば上司が熱心に指導・教育しても、馬耳東風というケースがあります。
ちょっと叱責しただけで委縮してしまうのも考えものですが、いくら言っても堪えないのも考えものです。
ストレス耐性のテストはあくまでも「目安」にしか過ぎないということを忘れないことが肝心です。
心身を病む可能性
ストレス耐性を決定づける要因として経験値があげられていましたが、ストレスを溜めこめばため込むほど、それだけ心身を病む可能性が高くなります。
厚生労働省によると、日本人の15人に1人が、一生のうちにうつを発症するとされています。
そして、うつを発症する人の特徴として、真面目であるとか、責任感が強いといったことがあげられています。
つまり、真面目な人や責任感が強い人は、自分のキャパシティを超えてストレスをため込む可能性があるのです。ただ自分の限界を超えてストレスをため込むと、そのうちに限界が訪れます。
限界が訪れたときに真面目な人や責任感が強い人は自分を迫る傾向にあります。
何事も人のせいにするよりはましなのでしょうが、自分を責めること自体がさらにストレスとなり、いずれ心身を病んでしまう訳です。
判断能力が鈍る
ストレス耐性が高い人の場合、判断能力が鈍る可能性もあります。自分はとっくに限界を迎えているのに気がつかず、なぜかケアレスミスを繰り返してしまうというようなケースです。
日本では過労死が問題となっていますが、常識で考えれば仕事より命のほうが大事なはずです。
ところが、なまじストレス耐性が高いばかりに、自分の限界を超えてしまい、不幸にも自らの命を断つという事態が増えているのです。
ストレス耐性よりもっと大事な3つのこと
ストレス耐性が高いことはいいことばかりではありません。
むしろ、企業側にとって都合のよい指標として使われている一面も否めません。人間生活を豊かに送るためには、ストレス耐性よりももっと大事なことが3つあります。
ストレスをコントロールすること
ストレス耐性よりも大事なことの1つが、ストレスをコントロールすることです。社会生活を営む以上、ストレスを全く感じずにいることは不可能です。
ただストレスをコントロールすることは訓練次第で可能となります。
なにか否定的な感情を抱いた場合、「でも~」とポジティブシンキングに転換しましょう。
たとえば道を歩いていたら鳥のフンが落ちてきて服に付いたとしましょう。
普通は「鳥のフンが落ちてくるなんてツイていない」と考えるところですが、「鳥のフンが落ちた場所が頭でなくてツイていた」という風に考える訳です。
また、ムカッとするようなことがあったら、5秒以内に笑ってみましょう。作り笑いであっても構いません。ムカッとするような状況を笑い飛ばすことで、ストレス状態から速やかに脱却できます。
自分の状態を把握すること
自分の状態を把握することも、ストレス耐性を高めることより重要です。
傍眼八目などという言葉があるように、意外と自分の状態が自分ではわからないものです。たまには自分を振り返る時間を持ち、自分の心身の状態を把握するよう努めましょう。
ストレスチェックをすること
ストレス耐性よりも重要なこととしては、ストレスチェックをすることもあげられます。
なぜなら、ストレスは「現在何%」という風に目に見えるものではないからです。厚生労働省のHPからストレスチェック表をダウンロードできるので、定期的にチェックするとよいでしょう。
まとめ
ストレス耐性が高いと、ビジネス上は有利なように思われます。
ただ、自分の心身の状態をしっかり把握しておかないと、どんどん面倒な仕事を押し付けられることにもつながりかねません。
厄介なことに、日本人は長時間働くことによって「自分が必要とされている」と感じがちです。
心身の健康を損ねないためにも、自分のストレス度合いを定期的にチェックすることが重要です。
ストレス解消方法に関しては下記のページで詳しく解説しています。