不動産投資ローンの金利タイプには、市場金利に連動して見直される「変動金利」と、一定期間または全期間の金利が固定される「固定金利」があります。どちらが有利かは、借りる金額・返済期間・保有する期間によって変わります。この記事では、金利タイプごとの特徴と、わずかな金利差が返済額にどれだけ影響するか、選び方の考え方を解説します。
金利タイプは大きく3種類
| タイプ | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 市場金利の動きに応じて、一定期間ごとに金利が見直される。当初の金利は低めになりやすい | 金利が上昇しても対応できる収益・資金の余力がある人 |
| 固定期間選択型 | 一定期間(例:3年・5年・10年)は金利が固定され、期間終了後に再度選択する | 数年先までの返済額を安定させたい人 |
| 全期間固定金利 | 借入期間の全部で金利が変わらない。当初の金利は高めになりやすい | 返済計画の確実性を最優先したい人 |
不動産投資ローンは、住宅ローンと条件が異なることが多く、金利水準や固定期間の選択肢も金融機関によって大きく違います。実際の商品内容は、各金融機関に確認してください。
わずかな金利差でも、返済額は大きく変わる
金利の差は小さく見えても、借入額が大きく期間が長いほど、返済総額に影響します。たとえば次のような試算ができます(元利均等返済、ボーナス返済なし、30年で計算)。
| 借入額 | 金利 | 毎月の返済額(目安) | 1年間の返済額(目安) |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 1.5% | 約17.2万円 | 約207万円 |
| 5,000万円 | 2.5% | 約19.8万円 | 約237万円 |
金利が1%違うだけで、毎月の返済額は約2.5万円、1年間で約30万円の差になります。家賃収入が返済額を十分に上回っていなければ、金利上昇によって、手元に残るお金(キャッシュフロー)が赤字になる可能性もあります。
変動金利と固定金利、どちらを選ぶか
「どちらが得か」は、将来の金利次第であり、誰にも確実には予測できません。そのため、次のような基準で、自分の計画に合う選択を考えます。
- 金利が上がっても返済できるか:金利が1〜2%上がったときのキャッシュフローを事前に計算し、赤字にならないかを確認する
- 保有期間はどのくらいか:短期で売却する想定なら、当初の金利が低い変動金利が選ばれることもある
- 返済期間と借入額:借入額が大きく期間が長いほど、金利変動の影響を受けやすい
- 手元資金の余力:金利上昇時に、繰上返済や追加の返済で対応できる資金があるか
複数のシナリオで収支をシミュレーションする方法は、不動産投資の収益シミュレーションの作り方で解説しています。
金利を選ぶときの手順
金利タイプは、後から借り換えで変更できる場合もあります。借り換えについては不動産投資の借り換えとはも参考にしてください。
金利の考え方を体系的に学ぶ
金利は、融資の条件を決める最も重要な要素の一つです。金融機関ごとの金利水準や、融資期間・自己資金との関係は、独学では見えにくい部分もあります。融資を活用した不動産投資の考え方を、収支計算とあわせて体系的に学べる機会を活用するのも一つの方法です。
金利に関するよくある質問
Q. 金利が低いほど、必ず有利ですか?
A. 金利だけでは判断できません。融資期間・手数料・自己資金の割合・繰上返済の条件なども含めた総合的な比較が必要です。金利が低くても、期間が短ければ毎月の返済額が高くなることがあります。
Q. 固定金利にしたあとで、変動金利に変えられますか?
A. 金融機関や商品によって異なります。固定期間中の変更は認められない、変更に手数料がかかる、といったケースもあります。借り換えで条件を見直す方法もあるため、契約前に確認しておきましょう。
Q. 変動金利は危険ですか?
A. 変動金利は、金利が上昇するリスクを自分で負う代わりに、当初の金利が低いという特徴があります。収益に十分な余力があり、金利上昇のシナリオでも返済できる計画であれば、選択肢になり得ます。
金利上昇に備えるための考え方
- 返済比率に余裕を持たせる:家賃収入に対する返済額の割合が高すぎないようにする(返済比率とDSCR)
- 予備資金を確保する:数か月分の返済ができる資金を、現金で残しておく
- 繰上返済で元本を減らす:金利上昇に備え、元本を早めに減らす選択肢を持つ
- 複数の金融機関の条件を比較する:同じ金利タイプでも、金融機関ごとに水準や条件が異なる
金利は、物件選びと同じくらい、収益に影響する要素です。購入前に、金利が上昇するケースもしっかり試算に入れておきましょう。
金利が上がったら、返済額はどう変わる?
次は、借入額5,000万円・返済期間30年・元利均等返済で、金利ごとの毎月の返済額を試算した例です(目安)。
| 金利 | 毎月の返済額(目安) | 1.5%との差(月) | 1.5%との差(年) |
|---|---|---|---|
| 1.5% | 約17.2万円 | — | — |
| 2.5% | 約19.8万円 | 約+2.5万円 | 約+30万円 |
| 3.5% | 約22.5万円 | 約+5.3万円 | 約+64万円 |
| 4.5% | 約25.3万円 | 約+8.1万円 | 約+97万円 |
金利が3%上がると、年間の返済額は、約100万円近く増えます。家賃収入が変わらなければ、その分だけ、手残りが減ります。変動金利で借りる場合は、こうした上昇幅でも、赤字にならないかを、必ず確認しておきましょう。
まとめ
不動産投資ローンの金利タイプには、変動金利・固定期間選択型・全期間固定金利の3種類があり、金利が1%違うだけで返済額は大きく変わります。金利が上昇した場合のキャッシュフローを事前に試算し、保有期間や手元資金の余力と合わせて選ぶことが大切です。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新:2026年10月
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