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銀行・信用金庫・公庫・ノンバンクの使い分け|物件と属性で変わる融資先の選び方

不動産投資の融資では、「どこの金融機関に相談するか」で、借りられる金額や条件が大きく変わることがあります。同じ属性・同じ物件でも、銀行では難しいと言われた案件が、信用金庫では前向きに検討されることもあれば、その逆もあります。この記事では、銀行、信用金庫、日本政策金融公庫、ノンバンクのそれぞれの性格を整理し、物件や借り手の属性に応じた使い分けの考え方を解説します。

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融資先を使い分ける理由

金融機関は、それぞれ資金の集め方、営業する地域、融資の方針、リスクの取り方が違います。そのため、同じ案件でも、評価のポイントや条件が変わります。融資を受ける側から見ると、「どの金融機関が正解か」ではなく、「自分の物件と属性に合う金融機関はどこか」を探す作業になります。

使い分けを考えるときの軸は、主に次の5つです。

これらは金融機関によって異なる上、同じ金融機関でも時期や店舗によって変わります。以下で挙げる特徴は、一般的な傾向として捉え、実際には複数の金融機関に確認してください。

4つの融資先の特徴

最初に、4つの融資先の違いを表にまとめます。ここでの記述は、公的機関や業界団体の説明で確認できる範囲を中心にしています。

融資先 組織の性格 営業エリア 不動産投資向け融資での位置づけ
銀行(都市銀行・地方銀行など) 株式会社(営利法人) 全国または広域 融資額の幅が広く、属性や物件の評価によって条件が決まる
信用金庫 会員が出資する協同組織の金融機関 定款で定めた地区に限られる 地域の事業者・個人向け。会員の資格や地区の確認が前提
日本政策金融公庫 政策金融機関 全国(支店経由) 融資の対象や資金使途が制度ごとに決まっている
ノンバンク(貸金業者など) 預金を扱わず、貸付けを行う会社 会社により異なる 銀行で難しい案件を検討する場合があるが、金利などの条件は厳しめになりやすい

銀行と信用金庫は、いずれも預金を受け入れて貸付けを行う金融機関ですが、組織のあり方が異なります。信用金庫は信用金庫法に基づく協同組織の金融機関で、営業地区があり、会員の資格が定められています。

銀行の特徴

銀行は株式会社の形をとる営利法人で、全国または広い範囲で営業し、大企業から個人まで幅広い取引先を持ちます。不動産投資向けの融資でも、融資額の幅が広く、複数の物件を取得していく場面でも相談できる金融機関が多いと言えます。

一般に、銀行の審査では次の点が重視されやすいと考えられます。

借り手の属性が評価されやすい場合には、有利な条件を引き出せる可能性があります。一方、築年数の古い物件や、特殊な形態の物件については、融資に慎重になることがあります。評価の方法は、金融機関ごとに異なります。

また、銀行は融資の方針を、時期や市場の状況に応じて変えることがあります。金融庁の資料でも、金融機関の投資用不動産向け融資に対する姿勢が時期によって変化していることが示されています。過去に融資を受けられた条件が、今も同じとは限りません。

信用金庫の特徴

信用金庫は、地域の個人や中小企業が会員となって運営する、協同組織の金融機関です。信用金庫法第10条では、会員の資格として、その信用金庫の地区内に住所や居所を有する者、地区内に事業所を有する者、地区内で勤労に従事する者などが挙げられています。事業者については、規模の要件が設けられています。

全国信用金庫協会の説明では、融資は原則として会員を対象とし、一定の条件で会員以外への貸出も認められているとされています。そのため、利用するときは、自分(または法人)がその信用金庫の会員になれるか、物件が営業地区の内にあるかを確認する必要があります。

信用金庫の特徴として、次のような点がよく挙げられます。

これらは一般的に言われる傾向であり、実際の対応は金庫によって異なります。信用金庫の融資を検討する場合は、まず、地区内に営業店があるか、会員の資格を満たすかを、営業店に確認するのが早道です。

日本政策金融公庫の特徴

日本政策金融公庫は、政策金融を担う金融機関で、事業を営む個人・小規模事業者、中小企業などの資金調達を支援しています。融資制度ごとに、対象となる方、資金の使いみち、融資の限度額、返済期間が定められています。

不動産投資で公庫を検討する場合に注意したいのは、融資制度が「事業者の資金ニーズ」を前提に設計されている点です。公庫の国民生活事業の融資制度のページでは、不動産賃貸業は、企業活力強化資金の対象として、「一定の要件を満たす不動産賃貸業」(中心市街地の活性化に関する法律に基づくまちづくり会社等に該当する方など)を営む方が、合理化・共同化等のための設備投資を行う場合、といった形で記載されています。賃貸用の不動産を購入する資金が、どの制度で対象になるかは、制度ごとに異なるため、公庫の窓口で確認する必要があります。

詳しい特徴は、別の記事で、日本政策金融公庫の不動産向け融資として整理します。この記事では、「公庫は制度ごとに対象が決まっている点が、銀行や信用金庫との大きな違いである」という整理にとどめます。

ノンバンクの特徴

ノンバンクは、預金を受け入れずに貸付けを行う会社です。貸金業を営むには、貸金業法第3条により、内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受ける必要があります。金融庁が制度の概要を公表しています。

銀行での融資が難しい案件を検討する場合や、スピードを重視する場合に、候補になることがあります。ただし、一般に、金利が銀行より高くなる傾向があるなど、条件は厳しめになりやすいと考えられます。

ノンバンクの融資を検討するときは、次の点を確認してください。

ノンバンクを利用する場面としては、次のようなものが考えられます。ただし、いずれも一般的な例であり、各社の実際の取り扱いは異なります。

つなぎとして利用するときは、借り換えができなかった場合に、高い金利の借入れが続くリスクを考えておく必要があります。出口(借り換えや返済の原資)が決まっていない状態での利用は、慎重に判断してください。

利息制限法と総量規制

金銭の貸付けの利息には、利息制限法による上限があります。元本が100万円以上の場合、上限は年15%で、これを超える部分は無効とされます(利息制限法第1条)。また、貸金業者から個人が借りる場合には、借入残高が年収の3分の1を超えると新規の借入れができなくなる総量規制があります。銀行からの借入れや、法人名義の借入れは、総量規制の対象外とされています(金融庁「貸金業法のキホン」)。

ただし、個人事業者の事業資金など、総量規制の扱いが複雑な場面もあります。貸金業者から個人名義で借りる場合の扱いは、貸金業者や専門家に確認してください。

金利の高い借入れを組み込むと、収支の余裕が小さくなります。ノンバンクを利用する場合は、返済を含めた収支計画を、金利上昇や空室が起きた場合まで試算してから判断してください。

物件タイプによる選び方の目安

物件の種類や状態によって、評価されやすい金融機関は変わります。次の表は、一般的な考え方の目安です。実際の対応は、金融機関によって違います。

物件のタイプ 検討の視点 相談先の例
築浅の一棟アパート・マンション 収益力と担保評価が分かりやすい 銀行、信用金庫
築古の一棟物件 融資期間が短くなりやすい。収支の根拠を示す必要がある 信用金庫、物件の地域に詳しい金融機関
戸建賃貸 担保評価と、借り手の属性が重視されやすい 銀行、信用金庫
区分マンション 借り手の属性が重視されやすい 銀行
事業用(店舗・事務所) テナントの契約内容や業種が見られる 銀行、信用金庫
自宅兼用や特殊な形態の物件 通常の融資の対象外となる場合がある 個別に確認する

築古物件の融資については、別の記事で築古戸建ての融資の考え方を整理しています。融資期間と建物の耐用年数の関係は、同じく別の記事で扱う予定です。

借り手の属性による考え方

借り手の状況によっても、相談先の候補が変わります。

借り手の状況 見られやすい点 検討の例
給与所得者(会社員・公務員など) 勤務先、年収、勤続年数、既存の借入 銀行、勤務先や居住地の近くの信用金庫
医師など専門職 収入の安定性、職業上の信用 銀行(属性評価の高い融資を扱う場合)
個人事業主 確定申告書の内容、事業の継続性 信用金庫、銀行
法人(資産管理法人など) 決算書、役員の資産、代表者の連帯保証の有無 銀行、信用金庫

これらも目安に過ぎず、同じ属性でも、金融機関の方針や時期によって扱いが変わります。法人の決算書の整え方、経営者保証の考え方については、別の記事で整理しています。

使い分けの手順

実際に融資先を選ぶ手順の例を示します。

  1. 自分の希望(借入額、期間、物件のエリア・種類)を整理する
  2. 自分の属性(収入、資産、既存借入、法人の決算内容)を一覧にする
  3. 物件の所在地と自分の住所を踏まえ、営業エリアの条件を確認する
  4. 複数の候補(銀行、信用金庫など)に、概略を伝えて、融資の方向性を確認する
  5. 返ってきた条件(金利、期間、手数料、担保、保証)を、同じ表に並べて比べる
  6. 事前審査を申し込む先を絞る

比較のときは、金利だけで判断せず、手数料、繰上返済の条件、担保や保証の条件、財務制限条項の有無まで含めて総合的に考えます。条件交渉で確認する項目は、別の記事で整理する予定です。

比較表の作り方の例(仮の例)

次のような表を作っておくと、条件の違いが分かりやすくなります。

項目 A銀行(仮) B信用金庫(仮) C(仮)
融資額 4,000万円 3,500万円 4,000万円
融資期間 25年 20年 25年
金利 条件を記入 条件を記入 条件を記入
事務手数料 条件を記入 条件を記入 条件を記入
担保・保証 条件を記入 条件を記入 条件を記入
繰上返済の条件 条件を記入 条件を記入 条件を記入
審査にかかる期間の目安 条件を記入 条件を記入 条件を記入

この表の数字は、仕組みを示すための仮のものです。実際の条件は、金融機関ごとの提示を確認して記入してください。

条件を比べる計算の例(仮の例)

金利の低い提案が、必ずしも有利とは限りません。次の仮の2案で比べてみます(借入4,000万円、元利均等返済)。

項目 提案X(仮) 提案Y(仮)
金利 年2.2% 年1.8%
融資期間 25年 20年
事務手数料 88万円 40万円
月額返済(概算) 約17.3万円 約19.9万円
年間返済(概算) 約208万円 約238万円
総返済額(概算) 約5,204万円 約4,766万円
利息総額+手数料(概算) 約1,292万円 約806万円

提案Yは、金利が低く、利息と手数料の合計が小さい一方で、融資期間が短いため、毎年の返済は約30万円重くなります。賃料収入で返済に余裕があるかどうかを、収支計画で確認する必要があります。逆に、提案Xは返済負担が軽い反面、総額は大きくなります。どちらが適しているかは、収益の水準、手元資金の余裕、将来の繰上返済や借り換えの方針によって変わります。

この例のように、総額、毎年の返済額、手数料を並べて考えることが大切です。返済額が軽くなる提案でも、期間が長ければ、築年数が進んだ後も返済が続くことになります。

複数の金融機関に相談するときの注意点

複数の金融機関に相談することは、有効な方法ですが、次の点に注意が必要です。

また、金融庁は、投資用不動産向け融資で、紹介業者に頼りすぎる体制の問題点を指摘しています。紹介を受けて金融機関を選ぶ場合も、自分で条件を確認し、比較したうえで判断することが大切です。

借入先を分散するか、集中させるか

融資を複数回受けていく場面では、借入先を分散させるか、特定の金融機関に集中させるかも、考え方が分かれます。

与信枠の考え方は、別の記事で融資の与信枠と名寄せとして整理しています。取引が増えるほど、資料の更新や、各金融機関の条件管理が重要になります。

また、金融機関によっては、預金口座の開設や給与振込、決済の取引を、融資の条件や金利の判断材料にする場合があります。これは金融機関ごとの方針であり、必ずしも条件になるとは限りません。条件にされる場合は、手数料や金利への影響を含めて確認してください。

よくある失敗

使い分けでよく見られる失敗を挙げます。

融資先選びのチェックリスト

よくある質問

Q. 銀行で断られた案件は、信用金庫なら通りますか。

A. 一概には言えません。金融機関ごとに評価の観点が違うため、別の判断になることはありますが、結果は案件によって異なります。断られた理由を確認し、資料や計画を見直したうえで、別の金融機関に相談するのが現実的です。

Q. 信用金庫から借りるには、必ず会員になる必要がありますか。

A. 全国信用金庫協会の説明では、融資は原則として会員が対象で、一定の条件で会員以外への貸出も認められているとされています。実際の取り扱いは金庫によって異なるため、営業店に確認してください。

Q. 日本政策金融公庫で、賃貸用の不動産を買う資金を借りられますか。

A. 公庫の融資制度は、制度ごとに対象となる方や資金の使いみちが決まっています。不動産賃貸業は、一定の要件を満たす場合に対象となる制度が公表されていますが、個別の購入資金が対象になるかは、制度や事業の内容によって異なります。公庫の窓口で確認してください。

Q. ノンバンクの融資は避けたほうがよいですか。

A. 一律に避けるべきとは言えませんが、金利や手数料などの条件が厳しめになりやすいため、収支への影響を試算し、他の選択肢と比べて判断することが重要です。貸金業の登録を受けた業者かどうかも確認してください。

Q. 複数の金融機関に同時に相談しても問題ありませんか。

A. 相談そのものは問題ありませんが、資料の数字や説明内容を統一し、事実のとおりに伝えることが大切です。正式な申込みは、条件を比べて候補を絞ってから出すのが無難です。他の金融機関への申込み状況を聞かれたときは、事実のとおりに答えてください。

まとめ

銀行、信用金庫、日本政策金融公庫、ノンバンクは、組織の性格、営業エリア、融資の対象が異なります。銀行は融資額の幅が広く、信用金庫は地区と会員資格が前提、公庫は制度ごとに対象が決まっており、ノンバンクは条件が厳しめになりやすい傾向があります。

融資先を選ぶときは、物件のタイプと自分の属性を整理し、複数の金融機関から出た条件を、金利だけでなく期間、手数料、担保・保証、繰上返済の条件まで含めて比べることが基本です。

制度や運用は変わることがあります。実際の判断にあたっては、金融機関の担当者や、税理士・弁護士などの専門家に確認してください。

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※本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の投資・融資・税務上の判断を勧めるものではありません。制度や数値は記事作成時点の一般的な内容です。個別の判断は、金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。

最終更新:2026年10月

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